口の中の細菌、歯垢とむし歯と歯ぐき
口の中の細菌叢とは、歯、歯ぐき、舌、頬にすむ細菌の群れのことです。歯の上ではそれが歯垢になります。細菌が自分で作る糖でまとまった、構造のあるバイオフィルムです。つり合いがとれていれば守ってくれますが、糖が頻繁だったり清掃がまれだったりすると酸を作る菌が優勢になり、エナメル質が溶け、歯ぐきが炎症を起こします。

口の中の細菌叢とは何か
口は、体が微生物に、けっして剥がれ落ちない表面を差し出している唯一の場所です。歯のエナメル質のことです。皮膚ははがれ、腸の粘膜は入れ替わりますが、歯はとどまります。だから細菌はその上に建てます。まず唾液の膜に貼りつく先駆者が来て、次にそれにほかの菌がくっつき、やがて群れ全体がべたつく糖——グルカン——の基質で自分を包みます。私たちが食べるショ糖から作られるものです。その構造が歯垢です。汚れのしみではなく、バイオフィルム、壁のある街です。
バイオフィルムの中では、細菌は漂う細胞とは違うふるまいをします。食べ物を分け合い、洗口液に耐え、単独ならば死ぬ量の消毒成分を生き延びます。歯みがき——物理的に壊すこと——が多くのマウスウォッシュにまさるのは、これが理由です。

だれもが聞く三つの質問
みがいているのになぜ虫歯になるのですか。 むし歯は衛生の失敗だけではありません。回数の化学です。糖に触れるたびに、酸を作る菌がエナメル質の表面のpHを下げ、唾液がそれを戻すには時間が要ります。こまめな間食は、よい歯みがきに勝ってしまいます。
歯ぐきからの出血は深刻ですか。 出血は、歯ぐきのきわの歯垢に免疫が応えている姿です。早いうちなら元に戻ります。放っておくと、歯ぐきの下の群れが炎症した組織で生きる嫌気性菌のほうへ傾き、歯を支える骨がゆっくり下がっていきます。
口の細菌は体のほかの場所にも影響しますか。 炎症した歯ぐきから来る菌種のいくつかは、動脈のプラーク、胎盤、大腸の腫瘍から見つかっています。それが原因として旅をしているのか、ただの同乗者なのかは、いま調べられているところです。
科学に言えること、まだ言えないこと

言えること。歯垢はバイオフィルムです。糖に触れる回数がむし歯を進めます。歯ぐきの炎症は細菌と免疫細胞の会話であり、早ければ元に戻ります。物理的な清掃が効くのは、それが基質を壊すからです。
まだ言えないこと。歯ぐきを治療すれば心臓の病気を防げるのか、どのプロバイオティクスの菌株が確実に口に住みつくのか、いわゆる「口と全身のつながり」のどこまでが因果で、どこからが共通のリスクなのか。試験は短く、見ている結果もほとんどが代理の指標です。
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